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錦   橋 (にしき ばし)

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nisiki bridge

  錦橋は、千代田区大手町1丁目と神田錦町3丁目との間で、千代田区道を渡す橋である。

  この橋の創架は昭和2年、震災復興事業により架けられたものである。橋名は、錦町と錦河岸に由来する。錦町の名は、幕末のころ、付近に一色(いっしき)姓を称する旗本がニ家あり、二色(にしき)を錦で表したという。

  3連の鉄筋コンクリートアーチであるが、スパンドレルがオープンなのは、川筋でこの橋だけである。特に、側径間のアーチリングが二分の一という、都内ではまれな構造形式をとっている。床版と支壁とアーチリングとの関係など、橋の構造が明快に表現されている。施工に際して、相当な苦労があったものと思われる。

  神田錦町と大手町の官庁街を結ぶ位置にあるため、歩行者も比較的多いのだが、これに見合った維持管理がなされていない。堂々たるアーチ橋の全体が、荒れるにまかされている。

  こうした激しい中性化の進行状況は、錦橋や鎌倉橋新三崎橋など、打ちっぱなしのコンクリート橋グループに共通している。他方、同じ時期に架けられた常盤橋堀留橋など、コンクリート表面に石を張っているグループでは、恐らくこれほどの劣化はないものと思われる。石張りによる初期投資が高くついても、長期的に見れば、単なる装飾効果以上の構造的、経済的効果をもたらしている。
  • 橋梁形式   鉄筋コンクリートアーチ橋
  • 橋  長   33.00m
  • 幅  員   34.00m
  • 架設年次   昭和2年5月
  • 建設機関   東京市
  • 管理機関   千代田区
  • 最 寄 駅   地下鉄東西線竹橋駅