1.関東大地震の発生 ◆家屋及び人的被害 ◆橋梁の被害 2.震災の概要 3.震災復興事業の概要 ◆組織と予算 ◆橋梁の復興
1.関東大地震の発生 大正12(1923)年9月1日午前11時58分、相模湾底を震源とする M=7.9 の大地震が東京・横浜など関東地方南部を襲った。この地震は、「関東大地震」と呼ばれた。 2.震災の概要 ◆家屋及び人的被害 東京の被災戸数は311,700戸、被災人口1,479,300人で、ともに全体の65%とされている。被災戸数の内訳は、全焼300,000余戸、全壊4,000戸、半焼半壊6,000戸であった。 横浜では、被災戸数94,000戸、うち62,000戸が全焼した。全体に対する割合は、前者が95%、後者が63%と報告されている。横浜は東京にくらべて震害による被害が格段に高かったようである。 人的被害は、東京では94,000人(死者58,000人、行方不明10,000人、重軽傷26,000人)、また横浜では35,000人(同、21,000人、2,000人、12,000人)である。東京の本所区では、有名な被服廠の惨禍により、48,000人の死傷者をかぞえた。 ◆橋梁の被害 東京の橋梁被害は、下表の通りであって、震害を受けたものは全体の2.7%と比較的少なかったが、火害を受けたものが50%と被害の大部分を占めている。 橋 種橋数震害%火害% 木 橋4206127666 鉄 橋606104982 石 橋1442154 C 橋4410000 RC 橋47001021 合 計67518334050 C 橋:コンクリート橋 RC橋:鉄筋コンクリート橋 横浜市においては、震源に近かったため、震害による被害が大部分を占めた。また、被害軽微であったものは、全体の16%にすぎず、他はすべて落橋もしくは焼失しており、東京に比較して震度が大きかったことを物語っている。 橋 種橋数震・火害%震害%火害% 木 橋7526352533811 鉄 橋3111351652310 RC 橋200210000 合 計108373443401110 /前項へ/Top へ/ 3.震災復興事業の概要 ◆組織と予算 震災直後は帝都移転設が一部において主張されたが、結局東京を復興することになり、大正12年12月27日、復興事業を所管する組織として帝都復興院が内閣に設置された。 当初、帝都復興院は、復興費用を41億円と見積もった。当時の国家予算が14億円足らずであるから、その巨額なことが分かる。このため、政府内部で反対が起こり、これを10億円に修正、最後は5億7500万円まで縮小して政府予算とし、大正12年の第48回帝国議会に上程した。しかし、当該議会において、多数派を占める政友会から20%カットする修正案が提出され、結局4億6800万円の予算が決定した。この結果、復興院は、大正13年2月、内務省の内局である復興局に格下げられた。 復興費用の縮小にともない、公共用地を取得するかわりに、全面的に区画整理を施行することになり、特別都市計画法が制定された。これにより、10%までの減歩を無償で行うことになった。 大正13年の第49回特別議会において、1億500万円が追加決定され、大正13年から6ヵ年の事業費計5億7300万円となった。なお昭和3年第56回帝国議会でも追加があり、国費総額6億4900万円が決まった。 予算内容は街路費、運河費、公園費、土地区画費などの直轄事業のほか、公共団体への貸付金、利子補給金などを含んでいる。この金額に公共団体の自己負担分を合わせて、復興事業費は、総額8億4700万円であった。 国と地方との負担割合は、国77.2%、東京府市18.5%、神奈川(横浜)4.3%である。東京市関係は3億5160万円でその内訳は国庫補助1億4770万円(42%)、貸付金4700万円、市債1億5690万円(利子補給7分)である。 区画整理の事業主体は、一部を国が直接施行した他、全面的に東京市及び横浜市が施行した。また、街路、運河、公園など土木事業は、国、東京府市、神奈川県と横浜市が役割分担して施行した。 ◆橋梁復興事業 震災復興事業による橋梁の新設、架替、改築は、主として国、市(東京市及び横浜市)により施行された。東京市においては、下表のように、425橋が施行された。 国施行 幹線街路整備に係わる橋 96橋 永代橋、聖橋、江戸橋etc 区画整理事業に係わる橋 1橋 尾高橋 運河整備事業に係わる橋 18橋 豊海橋、柳橋etc 計 115橋 市施行 補助街路整備に係わる橋 129橋 新有楽橋、万年橋etc 区画整理事業に係わる橋 57橋 豊平橋、南高橋etc 改築事業に係わる橋 88橋 両国橋、厩橋、吾妻橋etc 改築的復旧橋梁 36橋 一時的仮橋(木橋)である 計 310橋 合 計 425橋 1.幹線街路とは、都市計画街路のうち幅員22m以上 2.補助街路とは、幅員22m未満 /前項へ/Top へ/