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海幸橋(かいこう ばし)は、東京築地市場の入口に架かる橋です。関東大震災後の復興事業の一環として、東京市により昭和2年に築造された復興橋梁です。最近では、写真のように、桁下の運河は埋立てられ廃橋に近い扱いになっていました。(掲載写真は、いずれも平成11年5月撮影)
管理者である中央区は、築地市場のリニューアルに合わせて、平成13年12月に海幸橋の撤去に着手し、平成14年3月末にその工事を終えました。架橋位置には、橋灯2基が修復のうえ残されています。
海幸橋は、ドイツ流の設計理論が導入された初期の橋であり、ランガー桁橋としては我国最初のものです。土木学会は、中央区あてに「海幸橋の保全的存続に関する要請」を行いましたが、残念ながらこれは実現できませんでした。
東京の下町には、すでに僅かになっていますが、優れたシビックデザインの復興橋梁が残されいます。これらの橋については、現地保存あるいは移築保存など、大切な土木遺産として後世に伝えて行きたいものです。
関連サイト:土木学会/土木史研究委員会 「海幸橋の保全的存続に関する要請」
上段左:海幸橋正面
(向こう側が築地市場、手前左側に波除稲荷神社)
上段右:補剛リングと歩道部
(現在のランガ−型式に特徴的な折線ではない)
中段左:補剛リングと主桁の節点はピン構造
(ランガ−型式の理屈に忠実な構造)
下段左:ハンガーと補剛リングの取合い
下段右:アムステルダム派風の橋灯
(小規模な橋梁なので、橋面の対角線上に2基設置)