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隅田川の歴史




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     江戸名所百景・隅田川橋場の渡しかわら竃
 江戸末の台東区橋場のあたり  から、川向こうの向島が描かれ  ている。             千住大橋が架かるまで、奥州  街道はここを通っていた。在原  業平もこの位置で渡っている。   対岸の墨田堤、川面の都鳥、  遠く筑波山が見える。       立ちのぼる煙は、今戸焼の竃  からのもの。瓦や生活雑器を焼  いていた。         

◆中世関東平野の大河川=隅田川は利根川最下流部の呼び名

  関東平野を形成した利根川や荒川など大河川の流路は、時代により大きく変化していますが、江戸時代以前の様子は、例えば「平安時代の利根川・荒川水系想定図」に示すようでした。

  利根川は、その上流部では現在とあまり変わりませんでしたが、中流部では川俣付近より南下して今の古利根川筋を流れ、荒川と入間川を合わせて東京湾に流入していました。利根川最下流は、隅田川(住田川とも書いた)と呼ばれていました。在原業平が都鳥を歌った隅田川とは、この利根川でした。
  なお、荒川は、秩父の甲武信ヶ岳を水源とする河川であり、秩父、熊谷から東南に流れ、吉川付近で利根川と合流していました。

  渡良瀬川は、古河の西を流れ、今の庄内古川筋に入って利根川の東側を平行し、野田付近で今の江戸川筋に入り、太日(ふとい)川と呼ばれて東京湾に流入していました。

  鬼怒川(毛野川ともいう)は、小貝川と合流して龍ヶ崎付近より谷原、葦原とよばれる沼沢地となり、手賀沼、印旛沼を合わせて下る常陸川とともに霞ヶ浦、北浦一帯の湖水となり、鹿島灘に流入していました。

  このように、利根川・隅田川水系、渡良瀬川・太日川水系、鬼怒川・常陸川水系は、それぞれ独立した水系であったとされています。

  平安時代の利根川・荒川水系想定図


(出典:「国土交通省荒川上流河川事務所ホームページ」[00'/07版])


利根川・荒川改修工事年表
・利根川東遷関係
文禄3(1594)年:会の川締切 
元和7(1621)年:新川通開削
    (1621)年:赤堀川開削
寛永6(1629)年:鬼怒川大木丘陵開削
寛永7(1630)年:小貝川付替
寛永12〜18(1635〜1641)年
           :江戸川開削
寛永18(1641)年:逆川開削
承応3(1654)年:赤堀川通水
           (東遷完成)
寛文2〜6(1662〜1666)年
           :新利根川開削
寛文6(1666)年:利根川締切
寛文9(1669)年:利根川締切撤去
      :新利根川締切
延宝4(1676)年:将監川開削
天保9(1838)年:浅間川締切


・荒川西遷関係
寛永6(1629)年:荒川締切


(出典:「国土交通省利根川上流河川事務所ホームページ」[00'/07版])

◆利根川の東遷と荒川の西遷=水系を組替える

  天正18(1590)年、徳川家康は江戸城に入ると、関東平野全域に及ぶ大河川改修工事に着手します。改修工事の骨格は、江戸湾に流れ込んでいた利根川を、渡良瀬川・太日川水系や鬼怒川・常陸川水系を利用して順次東に移し、千葉県銚子で鹿島灘に流しこむこと、及び荒川を利根川水系から切離し、入間川に接続(瀬替)するというものです。これらの工事は、利根川の東遷、荒川の西遷と呼ばれています。
  その目的は、江戸を利根川の水害から守ること、江戸湊の舟運を維持すること、関東平野中心部の新田を開発すること、舟運による関東内陸部及び東北方面との交通輸送体系を確立することでした。
  工事は、関東郡代の伊奈備前守忠次に下命され、文禄3(1594)年に着工、忠次から忠政、忠治と受継がれ、60年の歳月をかけて承応3(1654)年に完成しました。

  利根川の改修工事は、文禄3年に着工、栗橋付近の台地を切開いた赤堀川のほか、新川、逆川、などの新川を開削して常陸川と接続し、さらに多くの湖沼を結びつけてながら銚子に流すものでした。また、江戸川を開削して、利根川の一部水量を江戸湾に落としています。この結果、渡良瀬川、江戸川、鬼怒川、小貝川などを支流とする、現在の利根川水系が生まれました。

  荒川の改修工事は、寛永6(1629)年に着工、利根川から分離する瀬替工事により、荒川を入間川の支流の和田吉野川に接続しました。この結果、荒川は、入間川を支流とする独立した水系となり、隅田川は荒川下流部の呼び名となりました。

  こうした大規模な河川改修工事の結果、江戸時代中頃における関東平野の大河川の流況は、ほぼ「大正時代の利根川・荒川水系想定図」のような形になりました。

  大正時代の利根川・荒川水系想定図


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(出典:「国土交通省荒川上流河川事務所ホームページ」[00'/07版])