ver.030221
水神大橋(すいじん おおはし)
- 橋梁形式 3径間鋼ニールセンローゼ桁橋
- 橋 長 157.0m
- 幅 員 20.0m
- 架設年次 昭和63年3月
- 建設機関 東京都
- 管理機関 東京都
- 最 寄 駅 JR常磐線/日比谷線南千住駅
東武伊勢崎線鐘ケ淵駅
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歩道部
復興橋梁と全く異なる
明るいクリヤーナ空間
アーチリング、ハンガー
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水神大橋は、荒川区南千住八丁目と墨田区堤通り二丁目との間で都市計画道路補助109号線を渡す橋である。創架は昭和63年、橋名は左岸下流の隅田川神社によっている。隅田川神社は、隅田川の総鎮守として江戸の頃から舟人たちの信仰を集めた神社であり、明治初期までは水神社、あるいは水神宮と呼ばれていた。この神社付近には「水神の渡し」があった。
この橋は、右岸の白髭西地区、左岸の白鬚東地区防災拠点を結ぶ連絡橋として計画されたものである。防災拠点は、両地区が一体となって、地震など下町地域の災害へ備えている。
白鬚西地区の計画面積は、約50haである。地区の中央には、12万人の避難者を収容可能な13haの公園を設置し、その周囲には中高層の耐火建築物を配置する計画である。現在、事業中である。
白鬚東地区の計画面積は、約30haである。防火壁の役割を果たす高さ40mの住宅棟を連続的に配置し、その内側に8万人の避難者を収容可能な10haの公園がある。昭和61年3月、事業を完了した。
本橋の開通の際、両地区住民の良き連帯を祈念して、橋上綱引き大会が開催された。
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歩道部
高欄の折れやカラー舗装のパターン
水をモチーフにデザインされている
橋脚の形
- (*1)帝都復興事業誌 土木編上
- 帝都復興事務局 昭和6年3月
- p-314
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架橋地域は、軟弱地盤地域で、橋脚はケーソン基礎、橋台はPCウエルとなっている。上部構造は、主径間が支間長102.00mのニールセンローゼ桁橋、側径間が支間長26.9mの箱桁でローゼ桁と連続構造で配置されている。
中央径間の架設には、台船による一括架設工法が採用された。架橋地点近傍で地組し、台船に横取りして搭載、架橋位置まで曳航する。隅田川は感潮河川なので、満潮時に橋脚上に搬入、引潮を利用して橋脚上に据えつけ、台船を引き抜くというものである。ちなみに、干満差は130cmである。
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昭和60年代の橋に共通するディティールに富んだ橋面となっている。親柱、高欄、カラータイルの歩道舗装など、水や隅田川の風物、地域に係わる事物などをモチーフにデザインされている。
アーチリンクと橋面との間は、ハンガーロープが張られていて、断面の差を強調しあっている。横構も単純で、スッキリとした橋面になっている。白鬚橋と比較すると、構造用鋼材、接合技術、解析技術など橋梁技術の進展を実感できる。
しかしながら、本橋の橋脚については工夫が欲しかった。関東大震災の復興にあたった内務省復興局は、「橋台、橋脚は上部構造を支持する部分であるから、努めて豪健にして強味ある外観を現はさしめ」(*1)といっている。本橋のような張出部のあるT型橋脚は、沓廻りの見えを複雑にしている。上部構造を支えるものは、小判型などのできるだけ単純な形であってほしい。あるいは、中央大橋のように、張出部が干潮時でも見えないようにしてほしかった。
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