ver.050515
中央大橋(ちゅうおう おおはし)
- 橋梁形式 2径間連続斜張橋
- 主桁形式 2鋼床版箱桁
- 主塔形式 台形断面のX字形
- ケーブル 8段、32本、径95φ〜150φ
- 橋 長 210.70m
- 幅 員 25.0m
- 架設年次 平成5年9月
- 建設機関 東京都
- 管理機関 東京都
- 最 寄 駅 JR京葉線/日比谷線八丁堀駅
地下鉄有楽町線月島駅
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「大川端リバーシテイー21」へ
中央大橋は、まちへのGate
越中島公園からの中央大橋
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中央区新川2丁目と佃2丁目との間で都道463号を渡す橋である。創架は、平成4年9月である。橋名は、中央区のほぼ中央に位置していることによっている。命名にあたって、佃地区に佃大橋があるように、新川地区に新川大橋があるべき、との異論があったという。
架橋地域は、ウオーターフロント開発の拠点地域である。両岸に林立する高層建築物群の中にあって、主塔の高さと、軽やかに川面を渡るスレンダーな主桁が、橋の存在を主張している。ユニークな主塔の形は、架橋地点がかって鎧島と呼ばれたことから、兜をイメージしたものという。
本橋のすぐ上流は、隅田川本流と派川の分流点であり、広々と水域が広がっている。河岸では、スーパー堤防の整備が進み、隅田川に開かれたまちづくりが進んでいる。本橋の水平方向と垂直方向への伸びやかな形態は、こうした風景によくマッチしている。
斜張橋としては、中規模の橋梁であるが、主塔が兜を模したX字形であること、主桁線形の一部に半径200mの曲線が入っていること、桁下空間が狭いことなどの幾何的特徴を持っている。このため、特に耐風安定性についての技術的検討がなされた。橋側のケーブルアンカーが、橋を吊っているという力学的内容を明快に表現している。また、橋脚の形がマッシブで、主塔を支えて安定感がある。力学的合理性と造形性とを備えた橋である。
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歩道部
橋上バルコニー
橋脚上のメッセンジャーと永代橋
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昭和60年代に入ると、道路や橋の建設に大きな変化が表れる。かつての機能性や経済性を優先させた考え方から、「豊さ」をキーワードに歴史や地域環境、景観を考慮した施設建設が考えられるようになった。本橋は、こうした時代背景に建設されたものであり、さらにはバブルの追風があった。
下流の佃大橋とは対称的に、橋上バルコニー、広幅員の歩道、ディティ-ルの豊かな高欄や橋灯など、歩行者空間のデザイン密度が高い。バルブ最盛期に架橋された、高価な橋である
橋脚に置かれた彫像は、オサップ・ザッキン(*1)作の「メッセンジャー」(*2)である。隅田川は、パリ市のセーヌ川と友好河川の縁組をしており、これを記念して東京都が屋形船を贈った返礼として、パリ市から贈られたものである。
- (*1)Ossip Zadkine
- 1890年ロシアのスモレンスクに生まれる。1921年フランス国籍を取得し、主にフランスで制作活動を行う。キュビズムの作風で20世紀後期における代表的彫刻家として知られる。
- (*2)Le Messager
- ザッキンの1937年の作品で、「希少木材を求めて海外に勇躍する船団の守護神」がモチーフとされている。高さ340cmのブロンズ製。
架橋地域は、江戸の頃、外洋船の箔地となったところであり、江戸湊の入口にあたる。ここに、メッセンジャーが置かれたことに不思議な縁を感じる。海からの幸を腕に抱く女神が、かつての江戸湊の中心を見守っている。
その設置位置は、橋の歩行者へのサービスからか、高い台座に設置されているのだが、橋脚の天端上面で良かったのではないか。メッセンジャーは、やはり川面をやってくるのではなかろうか。
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