蔵前橋と比較して簡素な橋脚
親柱と歩道部
- 背景の建築物は浅草のランドマーク
- 琥珀色のビルはアサヒビール本社ビル
- 隣はス−パードライホールと屋上の
「黄金の炎−フラムドール」
- フランス人 Philippe Starck の作品
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現橋は、昭和6年架橋の震災復興事業による復興橋梁である。
架橋地点の地盤は、非常に軟弱であるため、橋台、橋脚ともにニューマチックケーソン工法を採用している。したがって、上部構造型式としては、外的静定構造物が望ましかったはずである。実際、本橋の近くで地盤状況が同じ言問橋では、ゲルバー鈑桁型式を選定している。
しかし、あえてアーチ型式を選定したのは、次ぎの方針が復興局にあったものと思われる。
---両国橋(B)---280m---総武線橋梁(A)---560m---
-------蔵前橋(A)---410m---厩 橋(A)---
490m---駒形橋(A)---250m---吾妻橋------
---280m---東武鉄道橋(T)---310m----言問橋(B)
B:鈑桁橋、A:アーチ橋、T:トラス橋
蔵前橋、厩橋、駒形橋と吾妻橋との位置関係を見ると、上記のように、4橋は他の橋梁と距離を保ち、しかし相互に接近した一団の橋梁群を形成している。これら4橋をアーチ型式で統一することにより、景観上のポイントを創ることができる。復興局は、永代橋と清洲橋とに次ぐ景観的クライマックスを、ここに創ろうと意図したのではなかろうか。
本橋を架橋した東京市は、厳しい財政的制約のなかで復興事業を進めていた。本橋と同型式の蔵前橋とを比較すると、あえてアーチ型式を選定したために、工費節減に苦しんだ様子をうかがうことができる。(この項、「復興橋梁の計画プロセス」参照)
- 本橋は、蔵前橋の橋脚にある球形の水切りや、橋上バルコニーがないなど全体に簡素である
- 本橋の単位面積あたりの鋼重は313kg/uであり、蔵前橋=615kg/uのほぼ2分の一である
- 本橋の下部構造はニューマチックケーソン工法による井筒基礎であり、杭基礎の吾妻橋と工費の比較をすれば、はるかに高くなるはずである。しかし、両橋の鋼重の差などから、単位面積あたりの工事費は本橋=410円/u、蔵前橋=460円/uと逆転している
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